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窓のメリット・デメリット

2022年11月29日
リビングの横長窓

「三角狭小敷地の家」の設計 ⑩


 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「三角狭小敷地の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第10回です。


 建築基準法では住宅の居室は採光・換気のために一定基準以上の窓が必要です。窓をどのくらいの大きさでどのように配置するかは重要な設計課題ですが、一般に窓のメリット・デメリットは以下となります。



 窓のメリット

 1)光を入れる

 2)空気を入れる

 3)外を見る/外へ出入りする

 4)インテリアや外観のアクセントとなる


 窓のデメリット

 1)熱の出入りが大きい

 2)雨風が侵入しやすい

 3)室内がのぞかれる

 4)ガラスが割れて壊れやすい



 木製の窓が多かった時代は、窓のデメリットの部分はあきらめて、メリットの部分をいかに生かすかが設計者の腕の見せ所でした。2000年頃までは、アルミサッシではデメリットの解消も十分ではなく見栄えも悪かったので、建築家が設計する住宅の窓は、窓を開けた時に屋外の戸袋に建具をすべて引き込んで、室内からは壁に大きな穴があいたように見える木製窓が典型例であったように思います。


 一般的な木製窓は経年でひずんで隙間風が入り、結露して動きも悪くなります。また、近年は地球温暖化や健康への関心から、室内の熱の70%以上が出入りする窓の性能が重視される傾向にあります。最近のアルミサッシは高性能でデザインも洗練されてきているので、特に高気密高断熱の仕様やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とする場合は上級アルミサッシが必須となっています。


 「三角狭小敷地の家」は高気密高断熱でもZEHでもありませんでしたが、冒頭写真のリビングからはす向かいの公園の木々を望む横長窓は、既製品のアルミサッシを組み合わせて設計しました。木造住宅ですが、建物角に鉄骨柱を入れて、直角に折れ曲がる窓がなるべく連続して見えるようにしています。また、窓の上枠木口の厚みに収まるような小型ブラインドを設置して、ブラインドを下ろせば障子を通したような柔らかな光が入る気持ちの良い空間となっています。



→ 三角狭小敷地の家