メインの内容へ進む

門扉は不要?

2023年1月12日
道路に面した玄関には玄関ドアが道路から直接見えないように目隠しをするのが一般的ですが、敷地いっぱいに建物を計画した場合は道路と建物の離れが十分でないため目隠しを設置する余裕がありません。この計画では、玄関から見て人通りの多い方向に袖壁を設置して玄関の目隠しとしています。袖壁は庇と一体となって、建物と道路の間の緩衝空間を提供します。

「三角狭小敷地の家」の設計 ⑬


 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「三角狭小敷地の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第13回です。


 2023年は卯年ですが、「卯」の字は門扉が開いた形とされ、天門が開いて万物が繁茂することから五穀豊穣、家内安全を意味する縁起の良い文字だそうです。最近の住宅はコストダウンのためか、門扉や塀を簡略化したり省略することも多いようですが、門扉や塀を設ける理由としては以下が挙げられます。


1)防犯・防護

2)敷地境界を明確にする

3)建物と一体の外観デザイン


 敷地いっぱいに建物を建てた場合は建物まわりに土地がほとんど残らないので、門扉や塀をつくらない選択肢もありますが、冒頭写真の「西宮の家」では角地で車が追突する危険があることや、三角敷地の突端に塀で囲った小庭を計画すること、建物と塀を一体として大きく見せることなどが理由で門扉と塀を計画しました。


 門扉は玄関ドアと一緒に建物のエントランスを演出するので、既製品の門扉ではなく特注のアルミ門扉を塀上のアルミルーバーと共に製作しました。通常の門扉は玄関ドアへ至る前にありますが、「三角狭小敷地の家」の玄関ドアは道路に直接面しているので、この門扉は通用門として機能しています。


→ 三角狭小敷地の家