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キッチンはオーダーメード?

2022年10月30日
「三角狭小敷地の家」キッチン

「三角狭小敷地の家」の設計 ⑨


住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「三角狭小敷地の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第9回です。


住宅の設計でお施主様から「キッチンメーカーはどこがいいですか?」という質問をよく受けます。ハウスメーカーで設計をしていた時は、自社と提携開発しているメーカーをお勧めすることもありましたが、設計事務所では公平なアドバイスを差し上げられるので、お施主様のご要望を伺って一緒に検討させて頂きます。


システムキッチンが日本で生まれたのは、1970年代の高度成長期後半、ちょうどマンションがたくさん建ち始めた頃です。今ではたくさんの国内メーカーがありますが、ステンレス加工が得意なメーカーや家具製作が上手なメーカー、自社開発の素材を使用するメーカー、便器や家電の大手で総合的によくまとまっているメーカーなど各メーカーそれぞれ特徴があります。


1930年代からの歴史をもつ欧米のメーカーも日本に多く進出していて、主流はドイツメーカーです。つい最近まですべて輸入代理店の取り扱いでしたが、日本法人を設立しているメーカーも見受けられます。ドイツメーカーのシステムキッチンはデザインも価格も上級で、ちょうど日本車とドイツ車のような関係です。高額の案件やキッチンにご予算をかけられる場合は主要な選択肢となります。


メーカーの選択方法としては、ショールームへ行って販売員の説明を伺って、実際に展示品を使ってみることをお勧めします。設計者としては、お施主様のご希望やご予算を伺って、建物との調和を見ながら、メーカーの絞り込みや決定のご相談をさせて頂きます。


また、上記メーカーを採用しないで、設計事務所で詳細図を描いてキッチンを家具工事としてオーダーメード(特注製作)する方法もあります。冒頭写真の「三角狭小敷地の家」のキッチンは、三角形の敷地端部にある台形平面の台所であったため、家具工事として特注製作しました。水栓金具やシンク、オーブン、レンジ、ワークトップの材質や吊戸棚の塗装色などお施主様のご要望に応じて一つ一つの部材や色を選んで、BIM(3D CAD)で組みあがった姿を様々な角度から検証しながら決定しました。


オーダーメードのキッチンとすると、設計者の手間はかかりますが、総費用としてはメーカーの高価格帯キッチンよりは安く仕上がります。さらに「調理設備以外はただの箱で良い」という割り切りがあれば、低価格のキッチンとすることも可能です。お施主様のご要望や建物の条件に合わせて自由に設計できるのが家具工事でのオーダーメードキッチンのメリットですが、メーカーキッチンのようにシンクや収納の細やかな提案やメンテナンス保証が無いのがデメリットとなります。キッチンをオーダーメードとされるかはケースバイケースではないでしょうか?


→ 三角狭小敷地の家