周囲と呼応する開口
「三角狭小敷地の家」の設計 ②
住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「三角狭小敷地の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第2回です。
敷地いっぱいに建物を建てる時は、道路に面する開口(窓やドア)の計画が重要です。「三角狭小敷地の家」の場合は、交差点角の狭小敷地だったので、主に以下の3方向の周辺環境に対して、開口のあり方を提案しました。
1.高台の集合住宅(北東側)
北東側にある高台の集合住宅には、設計する住宅の2・3階の窓が面するので、室内の様子が覗かれないような配慮が必要でした。3階は部屋も小さく敷地の奥にあるので、集合住宅と対面する方向に窓が無ければ問題ありませんでしたが、2階は小さな中庭を設けて「二重壁」とすることで、室内が見えにくくなる工夫をしました。「二重壁」の間にある中庭の上は屋根がないので、中庭に面する窓から室内に十分明るい光が入りますが、BIMで太陽の動きをシミュレーションして、外側の壁の四角い穴の位置や壁の高さも検討しました。
2.緑豊かな公園(南東側)
交差点をはさんで、敷地の南東側には緑豊かな公園があります。設計する住宅の2階から公園の木々の緑がよく見えるように「横長窓」を設置しました。また、交差点から住宅を見ると、「真っ白な外壁」が浮かび上がるような住宅の外観を提案しました。
3.最寄り駅(南西側)
南西側の最寄り駅に近い位置に玄関を計画しましたが、駅からの往来が多い南側道路から玄関ドアが見えないように「コンクリートの目隠し壁」を提案しました。建物は木造ですが、コンクリート壁の重厚さが風格のある玄関を演出することも意図されました。
光や風や風景をとり入れる開口は、建物が周囲と如何に関わるかを考えて設計するべきだと思います。すぐに建て替わる周りの建物もありますが、どういった周辺環境と呼応して、どのような設計とするかをお施主様と一緒に丁寧に検討させて頂ければと思っております。